舩坂酒造店の店内へ一歩足を踏み入れると、木樽や歴史ある梁に囲まれた風情ある空間の中に、整然と並ぶ専用の試飲サーバーが目に飛び込んできます。このコイン試飲機こそが、連日多くの観光客を笑顔にしている名物スポットです。
システムは明快です。レジカウンターで専用コイン(専用おちょこ付きのセットなど複数プランあり)を購入し、ずらりと並んだ銘柄の中から好みの1本を選びます。注ぎ口の下におちょこをセットしてコインを投入し、ボタンを押すと適量の冷えた日本酒が注がれる仕組みです。店員に気を遣うことなく、1杯100円〜数百円単位の気軽さで、純米大吟醸から季節限定酒までを自分の舌で確かめられます。
現地を訪れた愛飲家たちの評価を二分する代表的な2大銘柄の個性について、テイスティングデータと現場の声を分析しました。
【深山菊(みやまぎく)の評判と特徴】
舩坂酒造店のフラッグシップである「深山菊」は、北アルプスの清らかな伏流水と良質な酒米を用い、飛騨の極寒の冬に丹念に醸される伝統の逸品です。穏やかで上品な立ち香と、口に含んだ瞬間に広がるふくよかな米の旨味、そして後口のキレの良さが見事な調和を見せます。「食事の邪魔をせず、最後まで飲み飽きしない」「冷酒でもぬる燗でも崩れない骨太な旨さ」と、地元ファンのみならず全国の地酒通から高い評価を得ています。
【甚代(じんだい)の味わいと魅力】
もうひとつの看板銘柄「甚代」は、より辛口でシャープなキレ味を追求した本格派です。飛騨の厳しい気候風土が育んだキレのある喉越しが特徴で、脂の乗った飛騨牛や濃い味付けの郷土料理と合わせることで真価を発揮します。辛口党の男性客や地元の晩酌層から絶大な支持を集めており、「すっきりとした辛さの中に確かなコクがある」と評されています。
さらに、女性客やアルコールに強くない層から圧倒的な支持を集めているのが、ゆず果汁をたっぷりブレンドした「ゆず兵衛」です。口いっぱいに広がる爽やかな柑橘の香りと程よい甘酸っぱさが特徴で、ロックやソーダ割りでデザート感覚で楽しめるとSNS上でも拡散されています。