紙飛行機をテーマにした楽曲の中で、名実ともに最高峰の知名度を誇るのがAKB48の『365日の紙飛行機』です。2015年下半期に放送されたNHK連続テレビ小説『あさが来た』(波瑠主演)の主題歌として書き下ろされたこの楽曲は、作詞を秋元康、作曲を角野寿和・青葉紘季、編曲を清水哲平が手掛けました。
この楽曲における最大の転換点は、センターポジションに当時NMB48のキャプテンであった山本彩が抜擢されたことです。従来のAKB48のシングル表題曲とは一線を画し、アコースティックギターの温かなストロークから始まるフォークソング調の導入部は、朝の食卓に爽やかな風を吹き込みました。当時の音楽番組や特番インタビューにおいて、山本彩は「アイドルファンだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃん、小さな子どもたちからも『毎朝聴いているよ』と声をかけてもらえるようになった」と語っており、幅広い世代へ浸透した手応えを明かしています。
制作当時、ドラマ制作陣からは「激動の明治・大正を前向きに駆け抜けた女性実業家・広岡浅子の生涯に寄り添い、現代の視聴者が毎朝元気に一歩を踏み出せる応援歌を」という強い要望が寄せられていました。秋元康が提示した「紙飛行機」というモチーフは、力任せにエンジンで飛ぶジェット機ではなく、自然の風を受け止めながらしなやかに進む主人公の生き方と見事に共鳴し、ドラマの平均視聴率23.5%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)という大ヒットを後押しする決定的な原動力となりました。