溶融亜鉛めっきを発注・設計する際、避けて通れないのがJIS H 8641(溶融亜鉛めっき規格)の規定です。設計図面には「めっき処理:HDZ55」などの記号で指定されますが、この記号はめっきの付着量と品質基準を定義しています。
代表的な規格区分であるHDZ55は、亜鉛付着量が550g/m²以上(膜厚換算で概ね76μm以上)であることを示しています。肉厚鋼材(板厚3.2mm以上〜6mm以上など)を用いた大型構造物、橋梁、配管サポート、通信鉄塔では、このHDZ55が長年デファクトスタンダードとして指定されてきました。板厚が薄い鋼材や小型金具では熱変形や過度な合金化を防ぐため、HDZ45やHDZ35といった付着量区分が選定されます。
なお、JIS規格の改訂に伴い、耐食性の保証形態として付着量表示だけでなく膜厚指定(HDZTなど)の併用も浸透してきています。発注時は対象部材の板厚や形状に適した種別が指定されているかを必ず確認しなければなりません。
単価相場と見積もりの仕組み
溶融亜鉛めっきの施工費用は、基本的に「めっき前の鋼材重量(kg)」を基準に算出されます。一般的な建築・土木用鉄骨加工品の場合、めっき加工費の標準単価は1kgあたり約80円〜150円前後が相場です。
ただし、実際の見積もり額は以下の要素によって大きく変動します。
- 形状と比重(かさ比重):肉厚の厚板やH形鋼など重い部材は単価が安くなりやすい一方、パイプや薄板板金など「軽くてかさばる製品」は浸漬効率が落ちるため割増単価(150円〜250円/kg超)が適用されます。
- 空気抜き穴・亜鉛流出穴の有無:袋状構造やパイプ製品の場合、浸漬時に空気が抜け、引き上げ時に余分な亜鉛がスムーズに排出されるよう加工穴が開いていないと、破裂事故の危険や不めっきの原因となります。現場での穴あけ追加工が発生するとコストアップに直結します。
- 小ロットチャージ:数点のみの持ち込みや極端に軽量な製品群の場合、最低加工料金(ミニマムチャージ:1バッチあたり15,000円〜30,000円程度)が設定されるケースが通例です。