発売から四半世紀以上が経過した現在でも、「東京生まれHIP HOP育ち」「悪そうな奴は大体友達」というフレーズは、SNSや掲示板、バラエティ番組などでパロディ化され、親しまれています。しかし、そこには現場の空気感とネットミームの間における大きな認識のギャップが存在します。
ネット上では「本当に悪そうな奴と友達だったのか」「単なるイキリではないか」といった冷やかし混じりのネタとして扱われることが少なくありません。しかし、90年代後半の渋谷・宇田川町を中心としたクラブシーンの実態を知る関係者の証言によると、当時のアンダーグラウンドはチーマーカルチャーやストリートギャング、クラブキッズが混ざり合うカオスな空間であり、Zeebraのリリックはそうした過酷な現場を生き抜いてきた者だけが持つリアルな生活実感に基づいていたのです。
文脈を切り離されて記号化されたことで親しみやすさを獲得した一方で、リリック本来が持っていた「緊張感と路地裏のリアリティ」が薄まってしまった点は、インターネットカルチャー特有の功罪と言えるでしょう。