なぜここまで多くの人が「や」の2画目と3画目を逆にしてしまうのでしょうか。その背景には、日本語の歴史と文字の成り立ち(漢字の草書化)が深く関係しています。
平仮名の「や」は、漢字の「也(や・なり)」が崩れて生まれた文字です。漢字の「也」の筆順を思い出してください。
【漢字「也」の筆順】
1画目:左の横折れフック(フのような形)
2画目:中央を通る長い縦棒
3画目:右側の曲がり(縦から右へ曲がって跳ねる)
漢字の「也」では、中央の縦棒が2画目に来ます。しかし平安時代に貴族たちが手紙などを素早く流麗に書く過程で、「也」の右側のパーツが上部の「点(ちょん)」へと簡略化され、文字の空間を安定させるために「外側の点(現2画目)」を打ってから「中央を横切る長い払い(現3画目)」で全体を締める運筆へと変化しました。
漢字「也」の構造的記憶が頭の片隅に残っている人ほど、「メインの長い縦線を先に引きたくなる」という心理トラップに陥りやすいのです。