林遣都のキャリアを語る上で欠かせないのが、作品ごとに全く異なる人格を立ち上げる「変幻自在のカメレオンぶり」です。映画デビュー作から社会現象となったテレビドラマ、そして近年高く評価されている本格舞台まで、その歩みは常に挑戦の連続でした。
社会現象となった『おっさんずラブ』牧凌太役の衝撃
林遣都の名を幅広い世代へ決定づけたのが、2018年放送のドラマ『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)における牧凌太役です。主人公・春田創一(田中圭)を一途に思いながらも、時にドSに接し、時に切ない葛藤を抱えるエリート後輩社員を熱演。言葉を発さずとも、視線の揺らぎや微かな息遣いだけで胸の痛みを表現する圧倒的な芝居は、国内外の視聴者を熱狂させました。
2019年の劇場版、そして2026年の続編『おっさんずラブ-リターンズ-』に至るまで、キャラクターの年齢や関係性の変化を細やかに表現し続け、シリーズの支柱としての存在感を確立しました。
『火花』から朝ドラ『スカーレット』、そして名作舞台への挑戦
Netflixオリジナルドラマとして世界配信された又吉直樹原作の『火花』(2016年)では、売れない若手芸人・徳永の挫折と情熱を生々しいリアリティで体現。また、朝ドラ『スカーレット』では、お人好しでどこかコミカル、それでいて誰よりも友人思いな大野信作役を好演し、お茶の間から絶大な支持を獲得しました。
さらに彼の真骨頂と言えるのが「舞台」です。『フェードル』『熱海殺人事件』『子供の事情』『セールスマンの死』、そしてビートたけしの青春時代を描いた音楽劇『浅草キッド』など、名だたる劇作家・演出家の舞台で主演・主要キャストを務め、劇空間を支配する凄まじい発声と身体表現で演劇界からも絶賛を浴びています。