仮面ライダーシリーズ終了後、多くの若手俳優が「さわやかなイケメン枠」として青春ドラマや恋愛映画に起用される中、菅田将暉が選んだ道は全く異なっていました。彼が直面したのは、特撮ヒーロー出身という強いパブリックイメージから脱却するための、泥臭く過酷な下積み時代でした。
2011年のドラマ『ランナウェイ〜愛する君のために』では、役作りのために自ら進んで地毛を丸刈り(坊主頭)にし、周囲を驚かせました。整った顔立ちをアピールするのではなく、役のリアリティのために容姿を犠牲にする姿勢は、当時の同世代俳優の中でも異彩を放っていました。
そして彼のキャリアにおける最大の転機となったのが、2013年公開の映画『共喰い』(青山真治監督)です。昭和後期の地方都市を舞台に、血の宿命と性、暴力に翻弄される少年・遠馬役をオーディションで勝ち取りました。
過激な描写や重層的な心理描写が求められる難役に対し、菅田将暉は体当たりで挑みました。当時の映画関係者へのインタビューによると、現場では「自分の持っているすべてを吐き出さなければ飲み込まれる」という極限の緊張感の中で演技を研ぎ澄ませていたといいます。この作品で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。「美少年アイドル」のレッテルを完全に打ち砕き、「日本映画界を背負う実力派俳優」として名乗りを上げました。