SNSやファンの間で頻繁に使われる「口から音源」という言葉。これは「CD音源と寸分違わぬクオリティで歌える」という意味の最大級の賛辞ですが、プロの現場視点ではさらにその先を行く評価が存在します。すなわち、「生歌のほうが音源よりも情報量が多く、遥かに心を揺さぶられる」という現象です。
生歌が上手い邦楽歌手の評判を検証すると、いくつかの明確な共通点が浮かび上がります。
小田和正のライブに携わるツアー関係者は、「リハーサル室で聴くアカペラの声と、5万人規模のドームで響く声の純度が全く変わらない。年齢を重ねても高音の抜け感が濁らず、言葉の1音1音がクリスタルのように研ぎ澄まされている」と証言します。音響機器によるイコライジングやエフェクトに頼ることなく、自身の骨格と呼吸だけで完璧な音像を構築できるボーカリストこそが、現場で真の称賛を浴びています。
また、Superfly(越智志帆)のライブに参加したリスナーの声を検証すると、「細身の体からスタジアムを突き破るような声が飛んできて鳥肌が止まらなかった」「高音を出しているのに苦しそうな表情が一切なく、むしろ楽しそうに空間を満たしている」といった驚きと感動のコメントが圧倒的多数を占めます。喉に無駄な力みを一切入れず、横隔膜と体幹の支えによって声を押し出すベルティング発声が、現場での圧倒的な迫力を生み出しています。