初夏の山野を散策する愛好家や登山者の間で、最も頻繁に議論となるのが「自生しているこの花はホタルブクロなのか、それともヤマホタルブクロなのか」という判別問題です。両者は草丈、花の形状、開花時期ともに酷似しており、一見しただけではプロでも遠目からの判別は困難を極めます。
両者を識別する唯一にして最大の決定打は、「萼片(がくへん)の間の構造」にあります。花をそっと持ち上げ、花びらの付け根にある緑色の萼を観察することで、誰でも明確に見分けることが可能です。
野外調査の現場において、植物愛好家が「山奥で見つけたからヤマホタルブクロだ」と早合点してしまうケースは少なくありません。しかし、ホタルブクロ自体も標高1,000m超の林道脇まで普通に進出しています。萼片と萼片の間に「めくれ上がった付属片」がピタリと張り付いていれば、どれほど深山であっても通常のホタルブクロです。