高力ボルトとは?普通ボルトとの違いと巨大建造物を支える摩擦接合の真相

高力ボルトとは?普通ボルトとの違いと巨大建造物を支える摩擦接合の真相

高力ボルトとは?普通ボルトとの違いと巨大建造物を支える摩擦接合の真相についての疑問解決ガイドを徹底解説します。

どれほどボルト自体の性能が高くても、施工プロセスに不備があれば接合部は所定の強度を発揮できません。鉄骨造高力ボルト接合工法において、日本建築学会の標準仕様書(JASS 6)が規定する工程管理は極めて厳密です。大別して「一次締め」「マーキング」「本締め」の3ステップを踏むことが鉄則となっています。

いきなりフルパワーで締め付けると、複数枚重なった鋼板に偏った浮きが生じ、接合部全体で均一な摩擦力が得られなくなります。そのため、まず所定トルクの約50〜70%(一般的なM20・M22ボルトであれば100〜150N・m程度)で仮止めを行う「一次締め」を実施します。この締め付けは、接合部の中央から外側に向かって順序よく進めるのが原則です。

一次締めが完了した直後、現場の鉄骨鳶(とび)職人は「白マーカー」を手に取ります。ボルト頭部、ナット、座金、そしてベースの鉄骨プレートにまたがるように一直線の線を引く作業です。この目印こそが、後の検査で「ナットだけが正常に回転したか」「ボルト軸が一緒に回ってしまう共回りを起こしていないか」「座金が共回りしていないか」を一目で判別するための防衛線となります。

マーキングを終えた後、専用の締結機(シャーレンチ)を用いて「本締め」を行います。トルシア形の場合、インナーソケットがピンテールを掴み、アウターソケットがナットを締め込みます。適正張力に達すると、反作用によってピンテールのスリットがねじ切れます。現場管理者が行うピンテール破断の確認方法は明快であり、先端部が切断されて脱落しているか、そして白ラインのズレ角度(おおむね30度〜60度の回転)が適切かを目視・計測して合否を判定します。規定範囲を超えてナットが回転しすぎている場合やすべてが一緒に回ってしまった共回りボルトは、即座に不合格として新品への全数交換が命じられます。

山下 哲也
著者

山下 哲也

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。