「普段の眼鏡でも、ズレ落ちないようにバンドで固定すれば大丈夫ではないか」と考える保護者は少なくありません。しかし、眼鏡技術者やスポーツ眼科学を専門とする医師らは、この判断に強い警鐘を鳴らしています。日常用のメタルフレームや硬質プラスチックフレームは、正面からの静的な衝撃には一定の耐久性を持つものの、時速数十キロで飛来するボールの直撃や、激しい接触による瞬間的なねじれ外力を想定して設計されていないからです。
独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)の災害共済給付データを見ても、学校管理下における眼外傷事故の多くが球技中に発生しています。通常の眼鏡が強い衝撃を受けた場合、金属製クリングス(鼻あて金具)の変形による眼瞼裂傷や、樹脂フレームの破断による顔面刺創、さらには衝撃で外れたレンズが眼球を直撃して引き起こされる前房出血・網膜震盪症といった重篤な事態を招きかねません。
これに対し、専用に開発された子供用スポーツメガネやスポーツゴーグルは、フレーム全体に柔軟性と弾力性に優れたポリアミド樹脂(TR-90等)やエラストマー素材を採用しています。衝撃を一点に集中させず、顔の骨格全体へ均等に分散・吸収するフェイスパッド構造を備えており、万が一強い外力が加わってもパーツが破砕して目頭や眼窩を傷つける危険性を極限まで低減しています。「安全への先行投資」を怠った結果、取り返しのつかない後悔を残さないためにも、運動強度に応じたアイウェアの切り替えは不可欠な判断基準となります。