「まさか自分が、無二の親友と同じ人を好きになるなんて思わなかった」――相談プラットフォームやSNSの匿名告白コミュニティに日々寄せられる悲痛な声の多くは、このフレーズから始まります。友達と同じ人を好きになった瞬間に走る激痛は、恋の切なさというよりも「信頼の土台が崩れる恐怖」に近いものです。
関係各所への取材やコミュニティ内のリアルな証言から見えてくるのは、関係が泥沼化するプロセスには明確なトリガーが存在するという事実です。なぜ、理性ある大人が抜き差しならない紛糾劇へと突き進んでしまうのか。その泥沼化する理由には、心理学でいう「サンクコスト効果(投資の回収心理)」が深く関わっています。
「これだけ傷つき、親友に嘘をついてまで時間と感情を注ぎ込んだのだから、今さら引き下がれない」という認知の歪みが発生します。争いが長期化すればするほど、費やしたコストを正当化するために「この相手こそが運命の人でなければならない」と思い込み、撤退の選択肢を自ら消し去ってしまうのです。知恵袋や掲示板の手記でも、「相手が好きだったのか、ただ親友に負けたくなかっただけなのか、最後は自分でも分からなくなっていた」という痛切な告白が数多く記録されています。