モデルとしてのキャリアが円熟期を迎える中、小谷実由が文筆家として鮮烈な足跡を記したのが、2022年に刊行された自身初のエッセイ集『隙間時間』(ループ舎)、そして近著『集めずにはいられない』です。
『隙間時間』は、多忙な日々の中にぽっかりと生じる「何でもない空白のひととき」に著者が何を考え、何を感じていたのかを、瑞々しくも静謐な筆致で綴った作品です。発売当初から文芸界隈や書店員の間で大きな話題となり、版を重ねました。
ネット上の読書コミュニティやレビューサイトに寄せられた実際の読者の声を検証すると、以下のような実情が浮かび上がります。
「キラキラした生活の自慢ではなく、ふと立ち止まったときの心細さや、道端の小さな草花に救われる瞬間がそのまま書かれている」「読んでいるうちに、自分の雑多な日常も愛おしく思えてきた」といった、精神的な救済を見出すコメントが大多数を占めています。SNSのタイムラインを流れる情報が過激化・高速化する中で、彼女の紡ぐ言葉は読者に深い呼吸を取り戻させる「解毒剤」としての役割を果たしています。