華やかなスポットライトを浴び続けた山口洋子でしたが、バブル崩壊後の1990年代半ば、約35年間にわたり銀座の伝説として君臨したクラブ「姫」を静かに閉店させました。その後、文筆活動やテレビ出演のペースを徐々に落とし、2000年代半ば以降は公の場から完全に姿を消すことになります。
世間から隔絶したかのような生活を送っていた理由は、重なる病魔との戦いにありました。報道関係者の取材や生前の親しい知人の証言によると、山口は長年の不規則な生活や激務が祟り、重度の糖尿病、慢性的な肝硬変、心不全、網膜症による視力低下などを併発していました。都内の一等地にある自宅マンション(港区赤坂周辺)で、家政婦や信頼できる限られた医療スタッフのサポートを受けながら、入退院を繰り返す療養生活に入っていたのです。
かつて毎夜のように華やかなドレスを身にまとい、機知に富んだ会話で政財界の重鎮を手玉に取っていた面影を消し、人工透析や視力の悪化に耐える日々。それでも彼女は、弱った姿を決して外部に見せようとしませんでした。見舞いに訪れようとするかつての常連客や芸能関係者に対しても、礼を尽くしつつ面会を固辞。「美しい山口洋子」のパブリックイメージを死守する姿勢は、晩年の過酷な闘病生活の中にあっても揺らぐことはありませんでした。