店頭に並ぶ商品の値札を見ると、ペットボトル飲料が50円前後、食パンが1斤100円未満、大容量の精肉や惣菜が相場の半値近い価格で販売されています。消費者が抱く「安かろう悪かろうではないか」という懸念に対し、流通業界の専門家や公開資料から読み解くと、極めてシステマチックな4つの合理化要因が浮かび上がります。
第1に、自社プライベートブランド(PB)「D-PRICE」の垂直統合型サプライチェーンです。大黒天物産は自社で大型物流センターや食品加工工場(SRC)を保有し、原材料の調達から製造、配送までを一気通貫で管理しています。中間マージンを極限まで排除し、スケールメリットを活かした大量生産を行うことで、品質を維持しながら圧倒的な原価率の抑制を実現しています。
第2に、店舗オペレーションにおける人件費と作業工数の極小化です。店内の通路を見渡すと、商品は棚に一つひとつ並べられるのではなく、輸送用段ボールの正面をくり抜いた状態でパレットごと積み上げられています。この「段ボール陳列」により、品出しにかかる時間と人件費を劇的に削減しています。
第3に、決済コストの徹底削減が挙げられます。現在も一般的なクレジットカードやPayPayなどの主要QRコード決済の導入を見送り、支払いを現金または独自のチャージ式決済に限定しています。店舗側が負担する数パーセントのキャッシュレス決済手数料をゼロに抑え、その浮いた利益をすべて店頭価格の値下げ原資として還元する方針を一貫して維持しています。
第4に、チラシ印刷や折り込みにかける広告宣伝費の圧縮です。過度な特売広告を打たず、公式アプリやWEBチラシへの移行を進め、日々の価格そのものを最大の宣伝材料とする構造を作り上げています。