生物学的な分類において、カタツムリとナメクジは軟体動物門 腹足綱(ふくそくこう)の有肺類(柄眼目など)に属する極めて近い親戚です。海に生息していた巻貝の祖先が陸上に進出し、肺呼吸を獲得したグループが彼らのルーツにあたります。
日常の疑問としてよく挙がる「どちらが先に地球上に現れたのか」という問いに対し、進化生物学の知見は明確な答えを出しています。太古の海から陸に上がった「殻を持つ巻貝(カタツムリの祖先)」が先であり、陸上生活に適応する中で「あえて殻を捨て去る進化」を選んだのがナメクジです。
陸上で重い炭酸カルシウムの殻を維持するには、大量のカルシウム摂取が必要となるうえ、移動速度が落ち、狭い隙間に入り込めないというデメリットが生じます。そこでナメクジの祖先は、防御力を犠牲にする代わりに「運動性の向上」と「狭所への隠蔽能力」を獲得するルートを選びました。ナメクジの背中を観察すると、外套膜(がいとうまく)と呼ばれる少し盛り上がった部分があり、その体内には退化した殻の名残である小さな石灰質の粒が今も埋没しています。
なお、呼び名に関して混同されやすいマイマイとデンデンムシの違いについても整理しておきましょう。「マイマイ」はオナジマイマイ科やマイマイ属に属するカタツムリの生物学的な総称や標準和名(ミスジマイマイなど)として用いられます。一方の「デンデンムシ」は「出出虫(殻から頭を出せ出せと囃した言葉)」に由来する俗称・幼児語であり、「カタツムリ(笠をかぶった粒ろ)」とともに同一の生物を指す呼称の違いに過ぎません。