一連の大成建設テレビCMシリーズは、従来の企業CMの常識を覆した歴史的作群である。同社はボスポラス海峡トンネル篇やスリランカ高速道路篇、ベトナム・ノイバイ空港篇など、世界各地のインフラ工事を舞台にしたアニメーションCMを次々と発表してきた。それまでの建設企業による広報といえば、完成した巨大な建造物や重機を映し出す実写映像が定番であった。
しかし、同シリーズがスポットを当てたのは、建造物そのものではなく「そこに携わる人間の想い」だった。人々の暮らしを守るため、見知らぬ土地で泥にまみれて汗を流す個人のストーリーにフォーカスしたのだ。建設業界の地道で愚直な営みを、美しい物語へと昇華させたこのブランディング戦略は、結果として就職活動を行う学生たちの心を強く捉え、業界全体のイメージ向上にも多大な貢献を果たした。