富田靖子のキャリアを語る上で外せないのが、映画界を揺るがした若い頃の伝説的なエピソードです。1983年、およそ12万7000人が応募したアミューズ主催の超大型オーディションを勝ち抜き、映画『アイコ十六歳』のヒロインとして鮮烈なデビューを飾りました。
さらに1985年には、大林宣彦監督の「尾道三部作」の完結編となった映画『さびしんぼう』でヒロイン・橘百合子と道化のような白塗り姿の「さびしんぼう」という極端な二役を熱演。映画ファンの間で今なお語り継がれる金字塔を打ち立てました。1987年の映画『BU・SU』では日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞するなど、若くして実力派女優としての評価を不動のものにしています。
その後、NHK朝ドラでは『あすか』『スカーレット』『らんまん』など複数の名作に出演。そして社会現象となった2016年のTBS系ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ(逃げ恥)』では、新垣結衣演じる主人公・みくりの母親である森山桜役を好演しました。「誰かを愛する素晴らしさ」を優しく説くその姿は、往年のファンのみならずZ世代の視聴者の心をも強く揺さぶり、幅広い世代から再評価される決定打となりました。