2022年5月3日、神奈川県横浜市にある自宅地下のトレーニングルームで、渡辺裕之が倒れているのが発見されました。所属事務所の公式発表によると、死因は縊死(自死)。鍛え上げられた肉体と爽やかな笑顔で「ファイト一発!」のキャッチコピーを体現していた彼の訃報は、共演者や一般視聴者のみならず、芸能界全体を深い混乱と悲しみに包み込みました。
事件性や金銭トラブルなどの憶測が飛び交いましたが、警察による現場検証や所属事務所、そして妻である原日出子の手記によって、その真相が明らかになりました。渡辺は亡くなる数ヶ月前から、自律神経の失調と不眠、激しい不安感に苛まれていました。コロナ禍による撮影現場の停滞、思い描く芝居ができないことへの焦燥感、そして持ち前の「何事も完璧にやり遂げなければならない」という強い責任感が、知らず知らずのうちに心を蝕んでいたと伝えられています。
原日出子は後にテレビ特番や雑誌の手記で、当時の様子を告白しています。夫の異変に気づき、心療内科への受診を促し、家族総出で支えようとしていた矢先の出来事でした。「少し良くなったように見えた時期もあった」という言葉が示す通り、うつ病特有の気分の波が家族を安心させた隙に起きてしまった突発的な悲劇であり、誰かを恨むこともできないやり場のない苦痛が残されました。