彼の脚本を語る上で欠かせないのが、徹底的にリアリティを追求したセリフ回しだ。2017年に放送された『架空OL日記』では、銀行員として働く女性たちの日常風景や給湯室での無駄話が延々と描かれた。事件らしい事件は一切起きない。それにもかかわらず、画面から目が離せなくなる。この「何も起きないことの面白さ」を成り立たせるのが、計算されたコメディドラマの技法である。
登場人物たちが交わす他愛もない会話の中に、実は物語の後半を左右する重大な伏線がさりげなく忍ばせれている。後から見直したときに「あの時の雑談がここにつながっていたのか」と気づかされる快感。この巧みな構成美こそが、コアなファンを魅了し続ける最大の理由だ。