本場所の支度部屋で行われる締め込みの装着は、まさに神事であり格闘の準備だ。力士自らが一人で締めることは不可能であり、付け人や同部屋の力士が2〜3人がかりで全体重をかけて引っ張り上げる。
装着の際、力士は肺の空気を限界まで吐き出し、腹を凹ませる。その瞬間に一気に引き絞り、結び目を固定する。息を吸い込んだ瞬間に腹圧がかかり、廻しと肉体が完全に一体化する仕組みだ。前褌、横褌、後褌――それぞれどの位置にどれだけのテンションをかけるかは力士の注文によってミリ単位で調整される。NHKの相撲中継では窺い知れないが、支度部屋では「もっと上だ」「あと5ミリ引け」といった怒号に近い指示が飛び交う。指一本入らないほど強固に締められた廻しは、相手の握力を奪い、技を封じる最大の盾となる。