多くの人が混同しがちな概念に、「密告」と「内部告発(公益通報)」があります。両者の境界線はどこにあるのか。それは動機の公共性と、法的な保護要件を満たしているかどうかに集約されます。
日本国内では、不正を告発した労働者を解雇や減給などの不利益な取り扱いから守るため、公益通報者保護法が施行されています。2022年の改正法施行により、従業員数301人以上の企業には通報対応業務従事者の指定や社内通報体制の整備が法的に義務付けられ、通報者を探索する行為の禁止や守秘義務違反に対する刑事罰の導入など、通報者保護の厳格化が進められてきました。
しかし、法律が保護するのはあくまで「国民の生命・身体・財産の保護に関わる法律違反行為(不正競争防止法、刑法、労働基準法違反など)」を、客観的な証拠を持って通報した場合に限られます。個人的な感情で同僚のサボりや不倫疑惑を暴露する行為は、法が定める保護の対象外であり、単なる「職場内の密告」にすぎません。