回転寿司のバックヤードからシャリ玉を作るロボットを排し、すべて職人の手握りにこだわる姿勢は、現代において極めて異例だ。シャリの空気の含ませ方、ネタの厚みや切り込みの入れ方、さらにはわさびの利かせ具合に至るまで、職人の長年の勘と技術が凝縮されている。
手のひらの体温で適度に温められたシャリは、口の中でふわりと解ける。シャリとネタが一体化するこの絶妙なバランスこそ、機械握りでは再現不可能な職人技の醍醐味だ。カウンター越しに職人と一言二言言葉を交わしながら注文する掛け合いも、昭和から続く古き良き寿司屋の風情を残しており、若年層には逆に新鮮な価値として映っている。