元社員やかつての側近たちが口を揃えるのは、堤氏の徹底した「現場主義」と「絶対的な威厳」だ。視察に訪れる際には、ホテルの廊下の落ち葉一枚、従業員の身だしなみ一つ見逃さなかったという逸話は数知れない。
一方で、彼に目をかけられた社員や、現場で汗を流す一般社員に対しては温かい言葉をかけ、手厚い福利厚生で報いる側面もあった。「独裁者」と恐れられる一方で、「男気のある親分」として慕う古参社員が少なからず存在したのも事実である。
過度なワンマン体制が法令遵守の欠如を生み、最終的に帝国の崩壊を招いたことは否めない。しかし、彼の強烈なリーダーシップがなければ、昭和の日本にこれほど大規模なインフラとレジャー文化が同時に誕生することはなかったという意見も強い。