物語のクライマックス、夕焼けに染まる河川敷で静かに語られる「未来で待ってる」という一言。日本アニメ史に残る屈指の名台詞だが、なぜ千昭はわざわざ過去へとやってきたのか。その背景には、彼が暮らす過酷な未来世界の存在がある。千昭の時代には、空を流れる雲も、草野球に興じるグラウンドも、そして真琴のおばさん(芳山和子)が修復していたあの一枚の絵画すら失われていた。
タイムリープの回数制限を使い切り、二度と会えないはずの別れ際。千昭が遺した言葉は、単なる甘い恋愛の約束ではない。荒廃した未来でその絵画を見るという強い意志であり、真琴に対して「時を恐れずに前へ進め」と告げる希望のバトンなのだ。真琴の「うん、すぐ行く。走っていく」という返答は、時間を巻き戻して過去に逃げ込む少女から、未来へ向かって自分の足で走る大人への精神的脱皮を象徴している。