本作を語る上で避けて通れない最大のトピックが、終盤の第41話および第42話で描かれたダルイゼンとの結末です。キングビョーゲンに見限られ、追いつめられたダルイゼンは、かつて自身の宿主であった花寺のどかの体内へ「もう一度匿ってくれ」と懇願します。これに対し、のどかは激しい葛藤の末にその要求を明確に拒絶しました。
この描写に対し、当時のSNSや掲示板では「プリキュアが助けを求める者を切り捨てた」「見殺しにしたのではないか」という激しい賛否両論が巻き起こりました。しかし、制作関係者の証言やシナリオを緻密に追うと、この拒絶こそが作品の核であった事実が浮かび上がります。
のどかは幼少期から原因不明の重病に苦しみ、家族や周囲の手厚い献身によって命をつなぎとめてきた過去を持ちます。その病の原因こそが、彼女の体内で育っていたダルイゼンでした。のどかにとってダルイゼンを体内に再び受け入れる行為は、かつての病魔の苦痛と再発を受け入れることと同義であり、自らの生命と人格を差し出す自己犠牲に他なりません。シリーズ構成を務めた香村純子氏とプロデューサー陣は、「誰かを助けるために、自分が犠牲になっていい道理はない」「自分の体と心を守る権利は誰にでもある」という毅然としたメッセージを貫き通しました。
また、最終回の短縮理由をめぐってもネット上では様々な憶測が飛び交いました。通常、年間50話前後で制作されるプリキュアシリーズにおいて、本作が全45話で幕を閉じた直接的な要因は、2020年4月26日から6月21日まで続いた約2ヶ月間にわたる放送休止の経緯にあります。後続作品の放送枠や玩具販売スケジュール、制作ラインの逼迫という現実的制約の中で、物語の焦点を「のどかの心の自立」と「地球のお手当て」へと研ぎ澄ませた結果が、あの無駄を削ぎ落とした全45話の構成でした。