文法面において最も顕著な対立軸が語順の違いです。日本語は「主語(S)+目的語(O)+述語(V)」の語順を取るSOV型言語であり、助詞(て・に・を・は)の働きによって語順を比較的自由に入れ替えることができます。これに対して中国語は「主語(S)+述語(V)+目的語(O)」を基本骨格とするSVO型言語であり、英語と同じ語順構成を持っています。
中国語には日本語のような「てにをは」に相当する助詞が文法格を決定する仕組みがありません。単語の配置順序そのものが文法的意味を決定づけるため、語順を崩すと文章全体の意味が崩壊します。語形変化(活用)が存在しない点も日本語との大きな相違点です。
発音における最大の障壁が、中国語特有の四声(声調・トーン)と豊富な母音・子音体系です。日本語の母音はわずか5種類ですが、中国語には複合母音を含めて30種類以上の母音が存在します。さらに「ピンイン(拼音)」と呼ばれる発音記号で表される音素には、日本語話者が苦手とする「反り舌音(zh, ch, sh, r)」が含まれており、同じ「ma」という音でも音の高低パターン(第1声から第4声)によって「母」「麻」「馬」「罵る」と意味が激変します。
文字体系における簡体字と繁体字の違いも押さえておく必要があります。中国本土やシンガポールで使用される「簡体字」は、1950年代の文字改革によって画数が大幅に削減された実用的な字体です。一方、台湾や香港などで維持されている「繁体字」は、伝統的な正字の流れを汲んでおり、日本の旧字体に極めて近い特徴を持っています。日本人が学ぶ場合、まずは学習リソースが豊富でビジネス流通量の多い簡体字から着手するのが定石です。