メディアが報じる「年俸27億円」という数字を目にすると、そのまま莫大な資産が個人の手元に残るような錯覚を覚えます。しかし、米国のプロスポーツ界を取り巻くタックスシステムを紐解くと、手取り額の実態は額面の半分以下という過酷な現実に直面します。
米国のプロアスリートに課される主要な控除・税金項目は以下の通りです。
- 連邦所得税:最高税率である37%がほぼ全額に適用。
- カリフォルニア州所得税:レイカーズの本拠地カリフォルニア州は全米屈指の重税地帯であり、最高税率は13.3%。
- ジョック税(Jock Tax):遠征先のアウェイ各州・都市で試合を行うたび、その現地自治体から課されるアスリート特有の地方税。
- NBAエスクロー制度:リーグと選手会の労使協定に基づき、年俸の約10%が一時的にプールされる仕組み(リーグ収益分配後に一部還付)。
- エージェント手数料および公認会計士費用:契約交渉を担う代理人へ約3〜4%、資産管理チームへ1〜2%。
これらを合算すると、税金と諸経費の総割合は額面の55%から60%近くに達します。つまり、2025-26シーズンの額面が1,826万ドル(約27億3,900万円)であっても、税金等を差し引いた純粋な手取り額はおよそ750万〜800万ドル(約11億〜12億円前後)になる計算です。手元に残る金額だけでも天文学的であることに変わりはありませんが、「表面上の額面の半分以上が公的負担と経費で消える」という構造は、米国で戦うトップアスリートならではのシビアな実情です。