彼女の名を一般の読書界へ一気に広めたきっかけが、自伝・エッセイ作『赤と青のガウン』である。元々はPHP研究所から刊行された単行本だったが、後に文藝春秋から文庫化されるやいなやSNSを中心に爆発的な口コミが広がり、異例のロングセラーを記録した。
文面からにじみ出るのは、高貴な身分でありながらどこか親しみやすいユーモアと、厳しい学問の世界に身を置く者の泥臭い苦労だ。警察のSPに囲まれながらの留学生活や、指導教授との容赦のないやり取り。誇張のない素直な描写が、読み手の心をつかんで離さない。皇族の手による書物がこれほどまでに人間味あふれる文体で書かれた例は過去に少なく、出版界に鮮烈なインパクトを与えた。