1971年、日本中を驚愕させたビッグカップルが誕生した。「内山田洋とクール・ファイブ」のメインボーカルとして絶頂期にあった前川清と、デビュー曲以来ヒットチャートの首位を独走していた藤圭子の結婚である。当時、彼女は『圭子の夢は夜ひらく』の大ヒットで社会現象を巻き起こし、若くして演歌界の頂点に君臨していた。互いに多忙を極め、NHK紅白歌合戦のステージ裏ですれ違うのがやっとという過酷なスケジュールの中、二人は惹かれ合い、世間の耳目を集める中で結ばれた。
だが、その結婚生活はわずか1年で幕を閉じる。お互いに20代前半の若さであり、背負わされた看板の重さはあまりに過酷だった。のちに前川清が語った回想によれば、そこには憎しみ合っての別離ではなく、あまりにも純粋すぎた二人が選んだ必然の幕引きがあったという。歌の鬼として生きる宿命を背負った藤圭子の張り詰めた精神を、家庭という枠組みの中に留めておくことは誰にもできなかった。