「最初はごくごく普通のナレーションだったんですよ」——そう振り返る声優・千葉繁の言葉は驚きに満ちている。元々は作品の重厚な世界観を伝えるシリアスな語り口でスタートした『北斗の拳』の予告。しかし、物語の展開が加熱し、登場する強敵たちの闘志が高まるにつれ、スタジオの熱気も常軌を逸し始めた。
監督や音響監督からの要求は回を追うごとにエスカレート。「もっとテンションを上げて」「もっと激しく!」という指示に応え続けた結果、千葉の語りはいつしか叫びとなり、やがて絶叫へと変化していった。毎週の収録はまさに酸欠との戦い。意識が遠のきそうになる極限状態の中で、あの圧倒的シャウトは産み落とされたのだ。