長男の逆鉾昭雪は、若くして関脇の座を射止め、技のキレで巨漢力士たちを翻弄した。一方、三男の寺尾常史は「土俵の鉄人」と称され、細身の体躯から放たれる回転の速い突っ張りを武器に、1500回を超える通算出場記録を打ち立てた。ふたりの生き様は対照的でありながら、根底にあったのは井筒部屋伝統の「負けてたまるか」という反骨心だ。
彼らが切磋琢磨した井筒部屋の土俵では、兄弟という甘えは一切許されなかった。激しい稽古の末に手に入れた関脇の地位。平成初期の空前の相撲ブームにおいて、彼らは常に本場所の主役であり続けたのだ。