人類学の研究によれば、日本人の身長は歴史を通じてずっと低かったわけではない。縄文時代の平均身長は比較的高かったものの、その後の米食文化の定着や仏教的価値観による肉食の忌避が重なり、江戸時代末期に向けて日本人の体格は歴史上最も小柄な水準まで縮小した。大正時代とは、明治維新以降に西洋の栄養学や衛生概念が流入し始め、緩やかな持ち直しを見せ始めた移行期にあたる。
保健統計学の専門家が指摘するように、第二次世界大戦後の学校給食制度と徹底した衛生管理の浸透こそが、日本人の身長を急激に伸ばした決定的な要素だった。大正時代の人々が小柄だったのは遺伝的な制限ではなく、環境要因によって成長の可能性が抑え込まれていたからにほかならない。