仮にこの歌詞を他の歌手が歌っていたなら、ここまで愛される国民的名曲にはならなかったかもしれない。中村雅俊という俳優・歌手が持つ、温かく、包み込むような人間性と声の深みが、桑田佳祐のアヴァンギャルドな歌詞に絶妙な「リアリティ」と「人情味」を与えた。
少し掠れた哀愁を帯びたハスキーボイスが、雨の街角に立つ男の孤独や情熱をリアルに描き出す。どれほど歌詞が官能的であっても、中村雅俊が歌うことで嫌味が消え、洗練された「大人の浪漫」へと昇華するのだ。歌い手とクリエイターが奇跡的な相乗効果を生んだ好例と言える。