記憶に新しい舞台『正三角関係』でも、その革新的な試みは観客を魅了し続けた。重層的に張り巡らされた伏線と、思わぬ角度から突きつけられる普遍的な問い。野田率いるカンパニーが到達した表現の深みは、観る者の価値観を揺さぶるに十分な強度を持っていた。
進化を止めることを拒むかのように、野田秀樹は常に新しい表現の可能性を模索し続けている。そして大竹しのぶもまた、積み重ねてきたキャリアに甘んじることなく、毎回自らの身体と心をまっさらにして野田の提示する荒波へと飛び込んでいく。前作で到達した高みがあるからこそ、次にやってくる波への期待は膨らむばかりだ。