「禁煙は自分の意志だけで行うもの」という古い常識は完全に否定されています。ニコチン依存症は医学的に治療可能な病気であり、全国の医療機関に設置されている禁煙外来を活用することで、自力での禁煙に比べて成功率は約3〜4倍に跳ね上がります。
禁煙外来で健康保険等を適用して治療を受けるには、厚生労働省が定める以下の4つの条件をすべて満たす必要があります。
- ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上であること
- 35歳以上の場合、ブリンクマン指数(1日の喫煙本数 × 喫煙年数)が200以上であること(※35歳未満は喫煙本数・年数の要件が免除されています)
- 直ちに禁煙することを希望していること
- 「禁煙治療のための標準手順書」に沿った禁煙治療について説明を受け、文書により同意していること
治療は通常、12週間にわたる全5回の通院プログラムで実施されます。処方される禁煙補助薬には、経皮吸収タイプの「ニコチンパッチ」や、脳内のニコチン受容体に作用して吸いたい欲求を抑えタバコを不味く感じさせる内服薬(バレニクリン等)があります。保険適用時の自己負担額は3割負担の場合で約1万3,000円〜2万円程度であり、タバコ代(1日1箱換算で月間約1万8,000円〜2万円)と比較しても極めてコストパフォーマンスに優れています。
禁煙開始直後に襲ってくるイライラ、頭痛、集中力低下、強烈な眠気などの「離脱症状」は、体内からニコチンが抜けていく過程で脳が混乱するために生じます。この離脱症状が続く期間は禁煙開始からおおむね2〜4週間程度であり、最初の72時間を過ぎると急速に軽減していきます。冷たい水を飲む、ガムを噛む、歯磨きをする、軽いストレッチを行うといった「行動パターンの置換」を事前に準備しておくことが、乗り切るための決定打となります。