事務キチ浜松店の店内を歩く誰もが驚くのが、文房具の陳列棚と並行して巨大な面積を占める食料品・お菓子コーナーの存在です。有名メーカーのポテトチップスやチョコレート、大袋のファミリーパック、カップ麺、ペットボトル飲料が、近隣の一般的なスーパーマーケットを凌駕する卸売価格並みで山積みにされています。
なぜ文具専門店が、これほどまでに食品の安売りへ注力するのか。流通経済学の観点から分析すると、ここには極めて巧妙なロスリーダー戦略(客寄せのための採算度外視商品)が機能しています。文房具は一度購入すると数週間から数か月間は買い替えが発生しない「低頻度購買品」です。一方で、お菓子や飲料、インスタント食品は日常的に消費される「高頻度購買品」に分類されます。
「子どもを連れてお菓子を買いに行く」「仕事用の飲料を安くまとめ買いする」という日常的な来店動機を作り出すことで、顧客の店舗訪問サイクルを圧倒的に短縮させています。そして、お菓子を目当てに訪れた消費者が、店内を巡回するうちに「ついでに仕事用のノートを買おう」「切れていた蛍光ペンを補充しよう」と、利益率の高い文具や事務消耗品をカゴに入れる導線が緻密に設計されているのです。