盛岡駅から徒歩10分余り、北上川に寄り添う材木町のメインストリートから光原社の敷地に入ると、そこには外観からは想像もつかないほど豊かな小宇宙が広がっています。敷地内は複数の棟と緑あふれる中庭で構成されており、それぞれ異なる趣を持っています。
1. 暮らしに寄り添う手仕事が揃う「本店」
重厚な引き戸を開けると、日本全国および東北の職人技が光る逸品が整然と並びます。岩手県の伝統である南部鉄器や秀衡塗、各地の窯元から届く陶磁器、型染めの布製品など、日々の生活で使い込むほどに味わいを増す道具たちが静かに息づいています。目利きのスタッフによって選ばれた品々は、手仕事ならではの揺らぎと凛とした気品を備えています。
2. 名菓と岩手の美味を集めた「モーリオ」
賢治が盛岡をモデルに描いた理想郷の街「モーリオ」から名付けられた食品・雑貨の館です。ここでは岩手の豊かな自然が育んだ蜂蜜、ジャム、調味料のほか、後述する看板商品「くるみクッキー」が販売されています。旅の思い出を形にする上質なお土産を探すなら、外せない空間です。
3. 文学の息吹を肌で感じる「中庭と資料館」
石畳の敷かれた中庭には、賢治の童話『烏の北斗七星』の一節を刻んだ石柱や、「注文の多い料理店 出版の地」と刻まれた記念碑が佇んでいます。奥の北上川に面した小径へと抜ける空間は、四季折々の木漏れ日と煉瓦の赤、漆喰の白が調和し、歩くだけで深い思索へと誘われます。併設された資料室では、賢治の直筆原稿の複製や創業当時の写真などを間近で見学できます。
4. 異国の手仕事と響き合う「カンパニオ」
敷地の北側に位置する「カンパニオ」は、中南米やヨーロッパ、アジアなど世界各国の民芸品・ファブリックをセレクトしたスペースです。国境や時代を超えて通底する「手仕事の純粋な美しさ」を実感できる構成になっており、光原社が持つ視野の広さを物語っています。