「味の民芸 川崎稲田堤店が閉まっているのではないか」「看板が消えていたような気がする」――SNSや地域掲示板で時折飛び交うこうした声ですが、結論から言えば完全なデマであり、同店は2026年現在も活気あふれる営業を続けています。公式発表資料および現地確認の双方において、閉店の予定や事実はいっさい存在しません。では、なぜこのような憶測が一人歩きしてしまったのでしょうか。飲食ジャーナリストの視点から紐解くと、主に3つの構造的要因が浮かび上がってきます。
第1の要因は、親会社である株式会社サガミホールディングスによるグループ全体の店舗戦略とブランド再編報道の波及です。外食大手各社は採算性向上を目的にスクラップ&ビルドを進めており、サガミグループ内でも他地域での一部ブランド転換や不採算店舗の整理が行われました。そうした業界ニュースが断片的に拡散される過程で、近隣住民の検索行動により「川崎稲田堤店も閉店するのではないか」という不安が増幅されたと見られます。
第2の要因は、コロナ禍以降に定着した営業時間の見直し(短縮)です。以前は深夜帯まで煌々と明かりが灯っていたロードサイド店舗ですが、現在は平日が22:00閉店(ラストオーダー21:30)、土日祝が23:00閉店(ラストオーダー22:30)へとシフトしています。かつての感覚で深夜22時以降に府中街道を通りかかったドライバーが「電気が消えている=閉店した」と早とちりし、ネット上に書き込んだケースが散見されました。
第3の要因として、府中街道・川崎街道沿いにおける近隣飲食店チェーンの相次ぐ閉店・建て替えとの混同が挙げられます。ここ数年、周辺エリアのロードサイド店舗がリニューアルや業態変更を行うケースが相次ぎ、記憶の混線から「味の民芸も閉まったのでは」という誤情報へと発展していったのが真相です。実際には、同店は週末になればファミリー層の入店待ち列ができるほどの安定した稼働を見せています。