映画『男はつらいよ』シリーズをはじめ、数々の話題作で圧倒的な存在感を放っていた後藤久美子。10代の頃から「国民的美少女」として脚光を浴び、トップ女優としてのキャリアを順風満帆に重ねていた。一方、世界最高峰のモータースポーツであるフォーミュラ1(F1)のグランプリで熱狂的なファンを魅了していたのが、フランス出身のレースドライバー、ジャン・アレジだ。
二人の運命が交錯したのは1990年代半ばのこと。当時、フジテレビの中継番組や関連取材を通じて、日本国内でもF1熱が爆発的な盛り上がりを見せていた。仕事の一環としてサーキットを訪れた後藤久美子は、レースの極限状態の中で戦うドライバーたちの姿を目にする。そこで出会ったのが、当時名門チーム「スクーデリア・フェラーリ」のエースとして熱走を見せていたジャン・アレジだった。
エンジン音が轟くピット裏。華やかなメディアの喧騒の中で交わされた一瞬の視線が、すべての始まりだった。異世界の第一線で戦う者同士、言葉を超えた強烈な直感が働いたという。