故・小澤征爾氏をはじめとする先達が築いた道を歩みつつも、彼の音楽的アプローチは極めて独創的だ。武満徹や芥川也寸志といった日本の現代作品から、マーラーやリヒャルト・シュトラウスの大曲まで、そのレパートリーの広さは他の追随を許さない。
欧州の伝統的な音楽空間において、彼の「間」の取り方や音色の色彩感覚は極めて新鮮に響く。西洋音楽の文脈を完璧に理解した上で、日本人特有の繊細なニュアンスや空気感を絶妙に織り交ぜる。この融合が生み出す独自の響きに、保守的なヨーロッパのクラシックファンも完全にノックアウトされているのだ。