日本の行政や医療研究機関も、処方薬による認知機能障害(薬源性認知障害)の防止に向けて動き出している。厚生労働省は「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン」の普及を推進しており、重複処方や不要な長期間処方を減らす取組を全国の医療機関に求めている。
高齢者医療の最前線に立つ国立長寿医療研究センターは、かかりつけ医と連携した減薬プログラムや処方適正化のフレームワークを構築。漫然と続けられているベンゾジアゼピン系薬や強い抗コリン作用を持つ薬剤の段階的な減量を推奨している。
神経内科学の専門医からは、「高齢患者に見られる物忘れや感情の平坦化が、認知症そのものの進行ではなく、実は服用中の薬による副作用だったという事例は現場で頻繁に目にする」との指摘があがる。早期に予防医学の観点を取り入れ、薬の整理を行うことが、脳の健康寿命を延ばす鍵となる。