インフルエンザで仕事休めないは違法?出勤強要の法的リスクと対処法

インフルエンザで仕事休めないは違法?出勤強要の法的リスクと対処法

インフルエンザで仕事休めないは違法?出勤強要の法的リスクと対処法の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉で紐解きます。

多くのビジネスパーソンが陥りがちな最大の誤解は、「インフルエンザにかかったら法律で会社を休まなければならない」という思い込みです。児童や生徒に対しては、学校保健安全法施行規則第19条により「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」という明確な出席停止基準が法定されています。しかし、民間企業の一般労働者を直接拘束するインフルエンザ出勤停止期間を定めた普遍的な法律は、現行法上に存在しません。

感染症法(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律)において、季節性インフルエンザは「五類感染症」に分類されており、結核やエボラ出血熱のような就業制限の対象には指定されていません。したがって、社会人が仕事を休むか否かの法的な枠組みは、各企業が独自に定めている「就業規則」に委ねられているのが実情です。ここに、労働者と企業の労務トラブルが発生する最大の盲点があります。

もし就業規則に「特定の感染症に罹患した者は出勤を禁ずる」旨の慶弔・病気休職規定があれば、それに従うことになります。しかし、そうした特別休暇規程がない企業で会社が一方的に「感染拡大を防ぐため休め」と命じる場合、それは会社命令自宅待機休業手当の対象となり、労働基準法第26条に基づき平均賃金の60%以上を支払わなければなりません。法律上の一律制限がないからこそ、「休ませるなら給与をどう補償するのか」という労使間の利害対立が、現場での「休めない空気」を生み出す温床となっているのです。

渡辺 美咲
著者

渡辺 美咲

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。