現代の安全保障・情報機関(インテリジェンス)が注視しているのは、オンライン空間で完結する「サイバー・ハニートラップ」の爆発的な増加だ。かつてのようにバーや高級ホテルで直接対面する必要すら、もはや存在しない。
SNSやビジネス向けSNS、マッチングアプリ上で、ターゲットの関心事に完璧に合致する架空の人物アカウントが生成される。近年では生成AIを用いたリアルタイム動画の偽造や、声質を完全に模倣するボイスチェンジ技術が熟達しており、画面越しや電話口の人物が本物であると誤認させることは容易だ。
標的となった研究者や防衛関連企業の技術者が、恋情や信頼感を抱かされた末に未公開の論文データやシステムのアクセス権限を自ら渡してしまう事例も相次いでいる。物理的な接触を伴わないため発覚が遅れがちであり、被害が発覚したときには手遅れになっているケースが少なくない。