ネット上のヘルスケア掲示板やSNS上には、毎月繰り返される胸の痛みに苦しむ女性たちの赤裸々な声が溢れています。
「生理前の1週間は、普段使っているワイヤーブラを着けるだけで肋骨と胸が締め付けられて息苦しい」
「胸の横から脇の下にかけてピンと突っ張るようなしこり感があり、腕を下ろすだけで激痛が走る」
「階段を降りるときの胸の揺れが拷問のように辛く、手で胸を押さえながら歩いている」
こうした生々しい体験談の中で特に目立つのが、「脇の下の痛み」を訴える声です。「乳房から離れた脇の下が痛むと、悪性のリンパ腫や乳がんではないかと怖くなる」という不安を抱く方が少なくありませんが、この現象には解剖学的な裏付けがあります。
人間の胎児期には、脇の下から太ももの付け根にかけて複数の乳頭が存在する「ミルクライン(乳線)」があります。成長とともに退化しますが、日本人女性の約5%〜10%には脇の下周辺に乳腺組織の一部が残存する「副乳(ふくにゅう)」が存在します。生理前になると、通常の乳房と同じように脇の下の副乳組織もプロゲステロンの影響を受けて腫れ上がり、神経を圧迫して痛みを引き起こすのです。さらに、乳房を吊り上げて支えているクーパー靭帯や周囲の筋膜が、乳腺の膨張によって限界まで引っ張られることも、脇の下から外側にかけての引きつるような痛みの正体です。