日本の各地にある古い寺院には、「人魚のミイラ」や「竜のミイラ」といった奇妙な遺物が安置されている。これらは長年、信仰の対象や寺の宝物として大切に保管されてきた。しかし、近年の大学や研究機関による科学調査によって、その正体が明らかになりつつある。
例えば、岡山県浅口市の円珠院に伝わる「人魚ミイラ」の鑑定結果は世間に大きな衝撃を与えた。CTスキャンや電子顕微鏡による分析の結果、その頭部は哺乳類の皮膚、下半身はニベ科の魚の皮や骨で構成されており、内部には紙や綿、粘土が詰められていたことが判明したのだ。これは騙そうとした悪質な詐欺というよりも、江戸時代の見世物小屋の興行や、人々の無病息災を願う信仰のために作られた「職人の工芸品」だったと解釈されている。信仰の形は複雑だ。