防眩ギアといえば高機能スポーツサングラスが真っ先に思い浮かびます。実際、オークリーや100%(ワンハンドレッド)といったハイエンドなサングラスを着用する選手は数多く存在しますが、なぜサングラスがあるにもかかわらず、アイブラックとサングラスの違いにこだわり、あえてアイブラックを選ぶ選手がいるのでしょうか。
その背景には、トップアスリート特有の「視野」と「感覚の狂い」に対する極めて繊細なこだわりがあります。
第一に、「視野角の広さと死角の排除」です。どれほどカーブを描いたフレームレスのサングラスであっても、極限の打球反応時にはフレームの縁やレンズの境目が視界の端にノイズとして入ります。特に内野手のゴロ捕球時や、捕手がファウルフライを見上げる際、フレームのわずかな死角にボールが一瞬でも消えることを嫌う選手は少なくありません。顔に直接密着するアイブラックであれば、視界の境目は一切存在せず、裸眼とまったく同じ180度以上の周辺視野を維持できます。
第二に、「遠近感(距離感)のズレとレンズの歪み」です。どれほど精巧に研磨された偏光・調光レンズであっても、光の屈折率が変わる以上、裸眼との間にミクロの視覚誤差が生じます。時速160キロに迫る剛速球の回転のシーム(縫い目)を見極める打者や、1ミリの打球変化に飛びつく外野手にとって、レンズ越しに見る世界と裸眼の感覚差は致命傷になり得ます。
さらに夏場の高温多湿なグラウンドでは、汗がサングラスの内側に垂れ落ちて視界を塞いだり、自身の呼気や体温でレンズが曇るトラブルも頻発します。そのため、「普段は裸眼派だが、太陽の眩しさだけは抑えたい」という選手にとっては、アイブラックこそが唯一無二の最適解となるのです。近年では、強烈な直射日光下でサングラスとアイブラックを併用し、上からの直射光と下からの照り返しを完全遮断するプレーヤーも珍しくありません。