創成期を語るうえで外せないのが、昭和の歌姫・美空ひばりの存在感だ。1965年に「柔」で大賞を受賞した際、彼女が見せた涙と圧倒的な歌唱力は、賞のステータスを一気に国民的行事へと押し上げた。テレビの普及とともに、年末にお茶の間で受賞の瞬間を見守るスタイルが定着していく。
橋幸夫、沢田研二、ピンク・レディー、八代亜紀、寺尾聰――。昭和の歌謡曲シーンを彩ったスターたちは、レコード大賞の栄冠を手に入れることで名実ともに「時代の顔」となった。作詞家、作曲家、編曲家、そして歌手が一体となって生み出した極上のメロディが、日本中を熱狂の渦に巻き込んだ時代である。