そもそも、なぜ東京都には「東京市」という自治体が存在しないのでしょうか。その疑問を紐解く鍵は、戦時中の1943年(昭和18年)に実施された東京都制の施行にあります。
かつて明治から昭和初期にかけては、広域自治体である「東京府」の中に、基礎自治体としての「東京市」(15区から始まり、後に35区へ拡大)が存在していました。当時は、東京府の中に東京市があり、府庁も市役所も東京市内に置かれていたため、何の矛盾もなく「府庁所在地は東京市」と呼ぶことができました。
しかし、太平洋戦争中の戦時体制強化に伴い、首都の行政を一元化する目的で東京府と東京市が統合され、新たな広域自治体として「東京都」が誕生しました。この際、東京市は廃止され、旧東京市域の各区は東京都の直轄下に置かれることになりました。
戦後、地方自治法の制定に伴い、これらの区は独立した自治権を持つ「特別区(現在の東京23区)」へと再編されました。基礎自治体としての「東京市」が消滅した結果、東京都 23区 県庁所在地の扱いをどう定義するかという特殊な課題が残ることになったのです。