現場で最もフラストレーションを生むのが、「画面のピンが現在地から数百メートル離れた川の中や隣町を指している」という測位ズレです。測位衛星の信号は宇宙から届く微弱な電波であるため、地上環境の影響を極めて受けやすい性質を持っています。
位置情報がズレる理由として代表的なのは、高層ビル群やタワーマンション街で発生する「マルチパス現象」です。衛星から直線で届く電波ではなく、建物の壁面やガラスに反射した遅延シグナルを端末が受信することで、計算上の距離に狂いが生じます。また、端末が省電力モードに入っている場合、GPSチップへの給電が制限され、更新間隔が強制的に間引かれる点も見落とされがちです。
位置精度の乱れを即座に修復し、GPS精度を上げる方法には明確な手順が存在します。端末のWi-Fi機能を「オン」に設定することが最も即効性のある対処法です。街中に飛び交う無数のWi-FiルーターのMACアドレスと電波強度を参照する「アシストGPS(A-GPS)」が機能し、衛星電波の届かない地下街や屋内であっても数メートルの誤差に補正されます。また、準天頂衛星システム「みちびき」に対応した国産端末の普及により、天頂付近からの信号受信が可能となったため、屋外で見通しの良い場所に出て端末を8の字に数回スイングさせ、電子コンパスを再調整することも劇的な改善につながります。